インタビューシリーズ#1 嶋田里英 X KURAMAE CREATIONS

建築設計からイラストレーションの世界へ。都市の美しさを“実際に訪れることができるアート”として表現する嶋田里英さんにお話を伺いました。


1:自己紹介をお願いします。

嶋田里英と申します。2021年からイラストレーターとして活動しています。生まれてからずっと東京に住んでいて、ここの都市のシーンをイラストに残したいと思ってるので、東京を扱った作品が多いです。


2:イラストレーターになったきっかけはなんですか?

大学院まで建築を学んでいたのですが、その時から建築そのものを設計することより、それを図面に落としたり、パースを描いたりボードを作ったりすることが得意だったんです。そう思いながらも卒業後はゼネコンの設計職で働いていたのですが、やっぱり建築を作るよりも、既にあるものを表現して伝えることに興味があると思い、イラストレーターになりました。また、一つの建物だけでなく、都市を描きたいという気持ちがありました。

絵を描くことに関しては、大学で図面を制作してたので、そこで先輩からフォトショップの使い方を学んだり、ゼネコン退職後に働いていた設計事務所で立体物の書き方を学んだりしました。


3:なぜ東京を描こうと思ったのですか?

東京は雑多でカオスで、人によっては汚いなどと言われる都市ですが、ずっと住んでる身としては時に素敵なシーンが生まれる都市なので、それを伝えたくてイラストにしています。特に1日の中で一瞬しか見られないシーンを切り取って「マジックアワー」や「コースライン」のような作品にしています。実際にその景色を見て描いたり、逆にその場所での朝やけや夕焼けなどを想像して描いたりしています。去年の『UNDER CONSTRUCTION』という個展でも、常に変わり続ける景色をテーマにしていました。


4:インスピレーションを受けた方や、作品はありますか?

大学の卒業論文で研究をした、スペインの建築家のエンリック・ミラーレスという方です。この方の図面の何が面白いかというと、普通の建築家は平面図、立面図、断面などそろぞれの図面を分けて書くのですが、この方はアートとして一枚の紙に重ねて描いてしまうんです。彼の作品がずっと好きで、描くモチベーションがない時は彼の作品を見返したりしています。

(Olympic Archery Range / Enric Miralles and Carme Pinos)

イラストレーターでいうと、ミロスラフ・サセックという絵本作家が好きです。This is シリーズという絵本で世界各国の都市を描いていた方で、特にサンフランシスコ編がお気に入りです。彼の作品も、エネルギーが切れてしまった時によく見返しています。

(This is San Franciscoから抜粋, 2003年)

どちらのクリエイターの方もテキストと余白のバランスで遊んでいて、そこが好きなのかもしれません。


5:嶋田さんの作品にもテキストが入ってますね。あれはどういう意味なのでしょうか?

さっきの話の続きで、私の作品を見ていいなと思ってくれた方が実際にその場所に行って、その景色が見れるように座標を書いています。なのでちょっと面倒ですが、google mapにその数字を打ち込んで、そこに立てば同じ景色が見れます(笑)。

 

6:最後に今後挑戦されてみたいことを教えてください。

ここ一年半ぐらいでデザイナーさんなどと共同して、ステイショナリーやグッズを作ることが増えてきて、自分だけでは到達できない場所に辿り着けるのが楽しかったので、今後も色々なグッズを作っていきたいと思ってます。企業さんなどとコラボレーションして布物などにも挑戦してみたいです。イラスト自体でいうと、あえて色を絞って描いてみたり、構図を変えてみたり、自分に刺激があるような要素を加えて自分でもハッとするようなイラストを描き続けたいです。

 

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