日本の伝統的なモチーフを現代風にアレンジ。独自の世界観で”令和のネオ大正浪漫”を描く朝際イコさんにお話を伺いました。

1.自己紹介をお願いします。
朝際イコと言います。2021年から本格的にイラストレーターとしての活動を開始し、最近は漫画家もしており、絵だけではなくストーリーやキャラクターを通して自分の世界を表現することにも挑戦しています。
日本の歴史やカルチャーが好きなクリエイターとして、日本の魅力を発見するきっかけになれたらいいなと考えています。
2.イラストレーターになったきっかけはなんですか?
絵自体はワクワクできるものとして、小さい頃から書いていました。特に初めはイラストレーターになるとは考えていなくて、 20代の時はインディーバンドの活動をしていました。ただ、自己表現でお金を稼ぐことは難しく、副業として絵をまた描き始めたのがイラストレーターになったきっかけです。
3. ご自身の現在のスタイルにはどのように行き着いたのですか?
イラストレーターを始めた時から自分の世界観を作ることにこだわりを持っていました。そこで元々好きだった大正時代や、亡くなった祖母から頂いた着物をモチーフに描き始めました。また、浮世絵からもインスピレーションを受けていて、カラーパレットに落とし込んで使うことが多いです。ただ、それだけだと浮世絵になってしまうので、ハイライトでアクセントを足してみたり、自分なりのアレンジを加えることで昔の日本の美的センスとモダンなクールさを融合したいと思っています。
デジタルで制作を行っているので、全作品にノイズ(色収差)を入れることで浮世絵の平面感を再現しています。実際に印刷物にした時に質感が生まれるので、よくアナログで描いたの?と聞かれることがあります(笑)。
(A3サイズ・刀のクローズアップ写真)
4. 特にどの浮世絵作家を参考にされていますか?
浮世絵自体は全体的に好きなんですけど、特に明治期の作家さんが好きです。例えば、小林清親や葛飾応為、あと河鍋暁斎と月岡芳年の作品とかもよく美術館に見に行ったりします。月岡芳年は妖怪の絵や、いわゆる無惨絵と呼ばれる戦時中の絵などグロテスクな描写も多いですが、怖いものみたさで見てしまう魅力を感じます。直接的に自分の作品に影響があるかはわからないですが、登場人物の視線であったり、決めポーズなどは参考にさせていただいています。
(月岡芳年 「美勇水滸伝 寺扈従白菊丸」1886年)
5. 今後どのようなことに挑戦したいですか?
イラストレーションだけではなく、漫画にも力を入れていきたいと思っています。ただ、日本が好きと言ってくれる人の多さは常々感じていて、個展にも海外の方が多く来てくれているので、日本に行ってみたい!と思ってもらえるきっかけになれるような作品を作って、発信していきたいと思っています。